保育園の調理師って、料理を作るだけではありません。
前回の記事では、私が働いている保育園を例に、約180食の給食やおやつを作る1日の流れについて紹介しました。
今回はその続きとして、保育園の調理師が日々の仕事の中で大切にしていることについて書いてみたいと思います。
保育園の給食には、アレルギー対応や離乳食、衛生管理、食育など、家庭で料理を作るときとは少し違う、注意が必要なことがたくさんあります。
そして、実際に働いている私が何より大切だと感じているのが、
「こどもたちの命を預かっている仕事だ」ということ。
少し真面目な話になりますが、保育園の調理師の仕事について知ってもらえたら嬉しいです。
アレルギー対応は、特に慎重に
保育園の給食で、特に注意が必要なのがアレルギー対応です。
私が働いている保育園でも、これまでにごまや大豆など、さまざまな食物アレルギーに対応してきました。
アレルギーのあるこどもには、通常の給食とは別に除去食を用意します。
「少しだけなら大丈夫」
「これくらいなら入っていても問題ないだろう」
という判断は、もちろんできません。
使用する食材を確認し、調理の工程にも注意しながら、間違いがないように準備していきます。
また、通常の食事と異なるのは食事内容だけではありません。
使用する食器やトレーの色、そして種類も違います。
もちろん中身の確認は徹底しますが、一目見て確実に違うとわかる工夫も必要です。
そして、その確認も、調理室の中だけで完結させることはありません。
提供するときは、保育士の先生ともダブルチェックをしています。
調理師だけでなく、保育士の先生とも一緒に確認することで、確実に提供ミスを防ぎます。
毎日当たり前のように行っている確認ですが、この「当たり前を毎日続けること」がとても大切なのだと思います。
離乳食も、一人ひとりに合わせて
保育園では、離乳食を食べているこどもたちもいます。
離乳食と一言で言っても、みんな同じものを食べるわけではありません。
ミルクのみのこどもから、
初期食
↓
中期食
↓
後期食
↓
完了食
↓
乳児食
と、成長に合わせて段階が分かれています。
同じ日の給食でも、年齢や発達段階によって、食材の大きさや硬さ、形状などが変わります。
大人が食べるには普通の大きさでも、まだ上手に噛んだり飲み込んだりできないこどもにとっては、食べにくいことがあります。
そのため、それぞれのこどもの成長に合わせて、食べやすい形や硬さに調整していきます。
こどもたちが実際に食べている姿を観察し、担任の保育士と相談しながら、日々の離乳食を進めていくことがとても重要です。
毎日の食事を通して、少しずつ食べられるものが増えていく姿を見られるのも、保育園調理師としての魅力の一つです。
衛生管理は、毎日の積み重ね
給食を作るうえで、衛生管理は欠かすことができません。
もちろん食材そのものの衛生管理も大切ですが、それだけではありません。
業務前や作業中に何度も行う手洗い。
制服や帽子を正しく着用すること。
必要な場面で手袋を使用すること。
調理器具や調理室を清潔に保つこと。
毎日の仕事の中には、細かな確認や決まりごとがたくさんあります。
「これくらいなら大丈夫かな」
と思ってしまいそうな小さなことでも、給食を食べるのは小さなこどもたち。
大人が何気なくできることでも、こどもたちにとっては大きなリスクになる可能性があります。
だからこそ、衛生管理は「今日はちゃんとやろう」ではなく、毎日当たり前に行うことが大切なのだと思います。
給食を通して、食育にも関わる
保育園の調理師は、給食を作るだけではなく、食育に関わることもあります。
私が働いている保育園では、畑でこどもたちが野菜を育てています。
自分たちで育てた野菜を収穫して、それを調理し、みんなで食べる。
自分が育てた野菜が、いつもの給食になったり、おやつになったり。
これは、こどもたちにとってとても嬉しい経験だと思います。
また、箸の進め方や食事中の姿勢について話すこともあります。
「野菜を食べましょう」
と伝えるだけではなく、
「自分たちで育てた野菜を食べてみよう」
「お箸はこんなふうに持ってみよう」
と、実際の経験を通して食べることに興味を持ってもらう。
そんな食育に関われることも、保育園で働く調理師の仕事の魅力のひとつです。
作ったものを、食べてもらえるとは限らない
ここまで書くと、給食やおやつは毎日こどもたちが喜んで食べてくれるように思えるかもしれません。
でも、実際はそう簡単ではありません。笑
栄養士や調理師が一生懸命考えて作ったメニューでも、こどもたちが食べてくれるとは限らないのです。
以前、バナナプリンを作ったことがありました。
味としては美味しくできていたのですが、見た目や舌触りがこどもたちにはあまり好まれなかったようで、食べ進みがよくありませんでした。
また、あんみつを出したときには、そもそも「あんみつ」という食べ物を知らないこどもが多く、
「これ、なに?」
と、食べることをためらう姿もありました。
大人にとっては「美味しいもの」でも、こどもたちにとっては、見たことのないものや、食べ慣れていないもの。
そんな違いを知ることも、保育園で給食を作る面白さのひとつです。
「どうしたら食べてくれるかな?」
「どんな料理なら興味を持ってくれるかな?」
と考えることも、私たちの仕事のひとつなのだと思います。
とにかく、こどもたちが可愛い!
保育園で働いていて感じること。
それは、とにかくこどもたちが可愛いということです。
毎日の給食やおやつを通して、
「今日の給食おいしかった!」
と言ってもらえたり、
苦手だったものを少し食べられるようになったり。
昨日までできなかったことが、いつの間にかできるようになっていたり。
日々の成長を近くで感じられるのは、保育園で働く大きな魅力だと思います。
調理室の中で仕事をしていると、直接こどもたちと関わる時間は保育士の先生より少ないかもしれません。
それでも、毎日の給食やおやつを通して、こどもたちの成長に関わることができます。
「今日も美味しく食べてくれるかな」
そんなことを考えながら給食を作る時間は、私にとって大切な時間です。
可愛いからこそ、適当にはできない
こどもたちと関わる仕事は、楽しいことばかりではありません。
給食を作る仕事にも、責任があります。
アレルギー対応を間違えないこと。
衛生管理を徹底すること。
一人ひとりに合わせた離乳食を用意すること。
決められた手順やマニュアルを守ること。
どれも、一見すると細かい作業に思えるかもしれません。
でも、そのひとつひとつが、こどもたちの安全につながっています。
私は、
「これくらいなら大丈夫」
という気持ちを持たないことが、とても大切だと思っています。
こどもたちは可愛い。
だからこそ、私たちはその命を預かっているという自覚を持って仕事をしなければならない。
適当にやってはいけない仕事だからこそ、衛生管理やマニュアルをしっかり確認して、自分自身も責任を持って仕事をしたいと思っています。
保育園の調理師という仕事
今回は、私が保育園の調理師として、日々大切にしていることについて紹介しました。
保育園の調理師は、給食やおやつを作るだけではありません。
アレルギー対応をしたり、こどもたちの成長に合わせて離乳食を作ったり。
衛生管理を徹底したり、食育を通して食べることの楽しさを伝えたり。
そして、そのすべての根底にあるのは、こどもたちに安全で美味しい食事を届けたいという気持ちです。
毎日たくさんの給食を作る仕事は、もちろん大変なこともあります。
それでも、こどもたちの「おいしかった!」という言葉や、少しずつ成長していく姿を見ると、
「今日も頑張ってよかったな」
と思うことができます。
これからも、こどもたちが安心して食べられる給食を作れるように。
そして、こどもたちにとって食事の時間が、少しでも楽しいものになるように。
自覚と責任を持って、私自身もこの仕事を楽しんでいけたらなと思っています。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。


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